美容業界では、毛量調整(髪を減らす技術)に対する意見が大きく分かれています。これは、技術の進化と共に、顧客の求めるスタイルが多様化し、美容師の技術へのアプローチも変化してきたためです。
約50年前、ヨーロッパでハサミによるカットのテクニックが体系化されたことは、日本を含む世界中の美容技術に大きな影響を与えました。しかし、東洋人特有の髪質や骨格の違いは、西欧人向けに開発されたこれらの技術がそのまま適用できないことを意味していました。特に日本では、硬くて毛量が多い髪質や独特の骨格を持つ人々のために、独自の技術が発展してきました。
時代が進むにつれ、より軽やかで動きのあるスタイルへの需要が高まりました。1990年代から2000年代にかけて、美容技術は技術重視からより感覚的な仕事へと大きくシフトしました。ソバージュスタイルが衰退し、ヘアスタイリング剤がムースからワックスへと移行した変化の時期を例に挙げるとわかりやすいでしょうか。これらの変化は、感覚と技術の対立という形で、美容業界内でも顕著になりました。特に「毛量調整」技術の使用は、軽やかなスタイルを求めるニーズに応える手段として広まりましたが、その教育や体系化の難しさから、技術の乱用とその弊害が顕著になりました。
このような背景のもと、美容師の間で「毛量調整」技術に対する意見が二分されるようになりました。一方では、「毛量調整」技術のデメリットが強調され、その使用を避ける美容師が現れました。一方で、技術をさらに発展させ、アップデートを続ける美容師も存在します。私の視点では、技術力の高い美容師ほど毛量調整を効果的に活用し、一方で技術に自信のない美容師はこの技術の使用を躊躇する傾向が見られます。このような環境下で、「毛量調整」に対する見解の違いは、美容師の技術的背景、教育、そして創造性の多様性を反映していると言えるでしょう。
我々Suzeは、施術や教育が難しく、誤った方法で実施すると失敗につながりかねない「毛量調整」という技術にあえて挑戦し、必要に応じて積極的に行う美容師の集団です。しかし、このアプローチを取る理由は何か、その背景にはどのような考えがあるのかについては、次回の投稿で詳しくお伝えする予定です。美容師としての私たちの哲学と、技術に対する深い理解に基づく行動原理を、さらに詳しくご説明します。